いろんなことを書き連ねるだけ

ゲームのプレイ日記とか書きたいことを書いてるだけです。

【映画】君の名は。【レビュー】

先日(1/3)に地上波で公開されていた「君の名は。」についてのレビューです。

 

一応ネタバレを含んでいるので続きからどうぞ。

またタイムトラベル(タイムリープ?)もののネタバレも含んでいるのでご注意を。

 

 

f:id:halucrowd:20180105012809p:plain

違う。そっちじゃない。

 

皆さんご存知なのでいちいち画像なんか出さなくてもわかるでしょう。

あの瀧くんと三葉ちゃんが入れ替わって~の話のほうです。

 

下でウダウダ書いてますが、先に言っておきます。

この作品は名作です。

 

この作品の感想を簡単に言い表すなら

「食感を楽しむ料理」

と言ったところでしょうか。

 

この表現が自分にとって一番しっくり来るので、こう言わせてもらいます。

じゃあどう言ったところが「食感を楽しむ料理」なのでしょうか。

 

まず、この作品の流れを簡単に説明します。ご存知の方もいらっしゃるでしょうから読み飛ばしてもらってかまいません。

 

・瀧くんと三葉ちゃんが夢の中で*1不定期入れ替わる。(原因不明)

・互いに相手の体を使うことや使われることに文句を垂れつつも二人は惹かれあう。

・しかしある時を境に入れ替わりが途絶える。

・瀧くんが糸守を景色を頼り*2に捜す。

・しかし糸守は3年前に隕石の落下で滅びていた。

・口噛み酒の力?で再び入れ替わり町を救うために奔走。

・結果的に成功するも互いにそのことを忘れる。*3

・8年後に再開でFin.

 

大体こんなところですかね。

 

では何故「食感を楽しむ料理」なのか。

簡潔に言えばこの作品は見ていて「気持ちいい」んです。

男女の中身が入れ替わってお互いに足りないものを補うというストーリーもそうですし、RAD WIMPSの音楽の使われ方も疾走感を醸し出しています。テンポよく進むストーリーに「どうなるのか」となったときに明かされる衝撃的な事実。そこから問題解決に奔走してそれが成功。最後は二人の再会からの未来を暗示してエンド。

見事なまでに「気持ちいい」んですよね。

 

男女の中身が入れ替わるという題材は互いの性に関心のある思春期~青年期の関心を誘うでしょう。

大胆でガサツな瀧くんと臆病?で繊細な三葉ちゃんがお互いに足りないものを補って互いの人生を好転させる展開は人生に行き詰ってる人に夢物語を見せる。

多少の伏線を置きつつ衝撃的な事実を提示して視聴者の目を引く(ここでタイムリープもののファンを呼び込むことも出来る)

絶望的な状況からどうにかして最悪の事態を回避するため奔走する姿は青春に憧れを抱く人に美しいものに見えるでしょうし、それが成功すると一安心する。

再開からの未来の暗示でハッピーエンドを思わせる。

 

正直見ていて個人的に「気持ちいい」となりました。が、視聴後何か残ったかというと残らない。あまりにスッキリしすぎているんですよね。

入れ替わり自体も面白いとは思いますし、入れ替わりがなくなるまでの展開はとても疾走感があって良かったです。糸守滅亡の事実から口噛み酒で入れ替わり奔走する姿は美しかったです。最後のエンドも良かったでしょう。というかあの辺りが落としどころでしょう。素晴らしい作品です。

 

じゃあ何かこれについて考察というか思案するかと言われればしないし、できない。

入れ替わり部分についてはどうこう思うところはないでしょう。あそこは導入部分です。ストーリーとしては完全に順当に進んでるだけです。

入れ替わりの理由も完全に不明なのでその点についての思案もできない。こういうところに「○○が△△という理由で願ったから」とかあれば「ここのシーンはそういうことか」とキャラクターの心情に思いを馳せることも出来ますがそれもない。

入れ替わりで互いに惹かれあうのも別にいいでしょう。順当過ぎる。

糸守が隕石で滅びた件も伏線として用意してたのが「三葉サイド*4でのみ彗星の話をしていたこと」だけ。あと瀧くんが三葉に連絡しようとした辺りで「彗星ってなんだよ」と話したことくらい。

ここで「糸守が滅びてる」もしくはそれに準ずる予想が出来た人間は頭のネジが飛んでるか天才過ぎる人*5だけ。伏線の考察に値しない。

口噛み酒とか「あの世とこの世」は完全にご都合主義の塊なので考察に値しない。ここが特に入れ替わりの理由と関わってるわけでもないので。

町の住民を救う方法もとても頭がいいと言える内容ではない*6のでここも凄いとは思わない。ただ高校生がやる分にしてはってとこぐらいか。というかなんでテッシーとかサヤカとか行動に移した。

瀧くん(in三葉ちゃん)が三葉ちゃんに会いに自転車で行ったのは本当に謎行動。まあ思春期だからね、で終わる。

最後のエンドもどっかで見たような*7展開なのでまあ…。

 

結構批判的な文になってますね。反省。

でも入れ替わりモノはその理由だったりが結構ミソな気がする*8し、時系列が複雑な作品は伏線とかが結構置かれてたりすることがミソだったりするのにそれがない。

僕はキャラクターの移り変わる心情の中にある「愛*9」を感じる作品が好きなんですがそういうものでもない。

特に「運命を変える作品」はそういうのが多いんですがね。

バタフライ・エフェクトエヴァンがケイリーを救うために奔走するもケイリーのために彼女の人生から自分を消す。

Steins;Gateは岡部倫太郎が他のヒロインの思いや人の人生を捨ててでも最悪の未来を回避するために何より椎名まゆり(牧瀬栗栖)を助けるために奔走する。

まどかマギカでは暁美ほむら鹿目まどかを救うために精神をすり減らしながら何度も未来をやり直す。

では「君の名は。」ではどうなのかってところなんですが、確かに三葉を救うために奔走するってのはあるとは思います。でもその前に糸守を救うためにってのも大きい気がしますし、何より瀧くんと三葉の関係性が薄い

「2011年の3月1日にタイムスリップしましたどうしますか?」って問いに「津波の被害者を減らしたり原発事件が起こらないように奔走する」っていう形なんですよね。三葉を救ったのはあくまで副産物であり、主目的な感じがしない。そして村に関する描写があまり好意的ではないのも非常に残念なところ。

 

正直「村を救うため」でもいいんですよ。その村が魅力的に書かれてさえすれば

でも糸守って古い風習が残ってるわ遊ぶところはないわ人すらも陰口言ったりして恐ろしく閉鎖的で限界が見えてるように描かれています。好意的に取られてるところあります?おばあちゃん(一葉さん)がいい人っぽいくらいじゃないですか?

糸守自体の魅力が伝えられてないのにどうして「糸守を救うために」に共感できるでしょうか。その想いに心を馳せれるでしょうか。無理です。

トライ&エラーもあるわけではありません。*10「三葉のために」が強調されていないので感情も結構シンプルです。一言で言えば恋愛感情であり「会いたい(震えながら)」

 

最後のシーンもハッピーエンドを暗示してるだけでコレといってない。何で瀧くんが就職活動で苦戦してるのかはわかりませんが、ここは考察無理でしょう。

 

で、「あそこのシーンの○○の行動には感動した!」ってのがない。「こうだったのか!」もない。スッキリしすぎた後味。でも見てる分には「気持ちいい」。

だから「食感を楽しむ料理」と比喩した訳です。味が大味すぎる。この作品ついて語ることはほとんどない気がします。わかりやすすぎるから。

 

ここまで結構批判的なこと書いてとても申し訳ないのですが、繰り返しますが

この作品は紛うことなき名作

であることは主張したいし、これを「駄作」扱いするのは言い方が悪いけど感性が死んでると思う。

 

というのも、「見ている気持ちよさで日本作品の2位にまで上り詰めた」という点で非常に優れていることがあります。

「興行収入が全てかよ」となるかと思いますが、2位なんてものに上り詰めるには「幅広い世代から支持されること」「リピーターが非常に多くいること」が不可欠です。

僕は映画の技法とか全く知りませんが、映像作品としての「君の名は。」は非常に素晴らしい作品です。色遣いも美しいですし、脚本の構成*11もわかりやすいしテンポがいい。音楽の使い方も素晴らしいと思います。RAD WIMPSも「BUMPに似てるだけの歌手」とか思ってたんですけど見方を改めました。

言い方が悪い気もしますが、ドラッグのような作品だなとも思います。アバター*12と似てる気もしますね。「内容はともかく何度でも見たい映像」的な。僕はアバター見てないんですが、多分同じ傾向な気がする。

後から振り返ると何もないんですが、でも見た直後「良かった」と思える作品。改めて映画って「映像」なんだなと感じました。重要なのは「ストーリー」じゃなく「映像」。まあ最低限の「ストーリー」は必要ですが。

公開されて大ヒット真っ只中のときにどっかの映画監督が「ミュージックビデオ」と揶揄しましたが全くその通りであり、それが正義なんですよね。それが求められてるんですよ。

これは悲しいことでも何でもなくて「映画は映像」っていう現実なだけなんですよね。

ストーリーを凝ったところでそれに想いを馳せるのは少数の人間*13だけであって大多数の人間は凝られたことによる難解さに嫌気が差す。そうならないように「わかりやすいけど味わい深い作品」を作るのは至難の業。

映画って難しいですね。動画作る予定の人間としては肝に銘じたいと思います。

 

「映画(動画)は映像」

 

 

 

野暮なツッコミで締めくくりましょう。

 

なぜ3年のズレもあったのにそれがわからなかったのか

 よく挙げられる疑問ですよね。まあこれは「夢の中だったので気づかなかった」というのが最有力ですかね。西暦とか確認したときに「あれ?」とならなかったのかと言われればそれまでですが。

入れ替わり期間が1ヶ月もあったのに互いに捜そうとしていないのはなぜか。

 個人的に非常に疑問に思った点。人の体に文句を書く前に直接言いに行こうとしないのは何故でしょうか。特に三葉ちゃんは隕石落下直前に会いに行ってますが何故それまで会いに行こうとしなかったのでしょうか。

 瀧くんはバイトしていてそれなりにお金も持っているはずで、それ以前に糸守を捜すことは出来ていたはずです。何故連絡が切れるまでやらなかったのか個人的に疑問に思います。

 

 

僕が思ったツッコミどころはこんなところですかね。いや捜せばもっとあるんだけど粗探しみたいになるのはレビューとしてダメだと思うのでこんなところで。

 

 

*1:ここが結構重要

*2:記憶を頼りに絵を描いて聞いて回る

*3:何かあったという記憶だけ残る

*4:三年前

*5:なおこちらも頭のネジが飛んでる。つまりどちらも頭の~(略)

*6:流石にテッシー爆弾はご都合主義にもほどがある

*7:バタフライエフェクトシュタインズゲートなど

*8:とか言いつつ入れ替わりものの作品を挙げられませんが

*9:ここでは「相手のために思いやった言動」を指すものとする

*10:上記した作品には全てトライ&エラーがある

*11:あえて「構成」としている部分に留意してほしい

*12:3Dブームを引き起こした作品。これで無駄に3Dテレビが作られたがアバターレベルの作品はそうそうないのでしばらくして立ち消えた

*13:僕も含む