タイトル通りなんですが、「二度目の人生を異世界で」とかいうラノベ(既刊18巻)が発刊停止になったらしいのでそれについてあーだこーだ書く。
先に書いておくと、これを書いている僕含めてこれについての関係者ならびに言及してる人の9割くらいはクソです。
とりあえず、流れを整理しましょうか。
・先月末~今月はじめあたりに作者の中韓に対するヘイトスピーチが発掘される。
・それをネットの人間が騒ぎ立てる
・騒ぎを聞きつけた中国メディアがラノベを読んで「主人公が日中戦争で中国人を3000人殺害した人物であると暗示されている」と指摘。
・作者が謝罪
・アニメ化で演じる予定だった声優が4人降板
・出版社が内容に問題があるとして発刊停止に。
・アニメ化も中止が決定。
まあこんな感じですね。
え~っと、これアホくさいところが多々あって。というか初っ端からヤバイんですが。
まずね。このヘイトスピーチって5年くらい前のものなんですよね。それを今更わざわざ持ってくるとか、どう考えても「アニメ化決まったらしいから粗探ししよう大会」が開催された結果じゃねえの?となる。
まずここで5年前のツイートを発掘する神経がおかしいよね。
ツイート内容はヤベーので、ここであーだこーだ書くことはない。あれはヤベー。典型的なネトウヨのそれです。
で、これをネット民が「こいつこんなこと言ってたぞwww」みたいに囃し立ててました。というか囃し立ててたツイートが流れてきてた。
まあこの流れに関しては別に何も不思議ではない。ネットは何かしらネタを見つけてはすぐに消費する社会だから。
次に中国メディアがラノベから主人公の転生元?を推測。それがかなりヤベー奴だということがわかったみたいなんですが、
日本の発刊物になんで中国が出てくるんだ?
って話でね。まあ「日本はまだこんな出版物出して反省してませんよー!」ってやりたかっただけなんだろうが。そんなことより書店の中韓関連の本テキトーに漁ってたら確実にもっとヤベー本は見つかるはず。
作者が謝罪したのは別にいいわ。特にあーだこーだ言うことない。
で、アニメ化で演じる予定だった声優が4人降板。これもまあ声優という人気商売な以上、こういうヤベー作品認定されたものに関わらないのは彼らの自由なのでこれもいいでしょう。
で、出版社が発刊停止。流石にこれは意味が分からない。
原因と考えられるものは二つあって、この作者のヘイトスピーチ内容がヤバかったからというのと、作品の表現(中国メディアが指摘したもの)が酷かったからというもの。
前者の場合は、作者の思想によって18巻まで発刊していたものを停止させるという作家からの信用を無くす*1行動であるので、作家が作品を出す場合はこの出版社から出すのはやめた方がいいことになる。
「思想があまりにもおかしいから」という反論があるかもしれないが、そもそも作者と作品は切り離して考えられるべきで、たとえいかなる差別主義者であってもそれは個人として断罪されるべきでこういう作品に波及するのはおかしい。というかそれなら酒鬼薔薇の方が圧倒的におかしい。でもあれは出版社が守った。*2
次に作品の表現が酷かったからというのがあるが、「主人公が日中戦争で3000人を殺害した人物の生まれ変わり」という暗示があったそうだが、今の今までそれに気付かなかったのなら問題なくないか?あるのか?
該当部分がいつに発刊されたものなのかわからないから特定はするつもりないけれども、「小説家になろう!」でも公開されていたようで結構な年月経ってるはずなんですよ。
少なくとも2,3年は日本人が気付かなかったし、中国メディアが指摘しなかったら今でも気付いていませんよ。絶対。
で、そんなレベルの表現を規制する必要はあるのか?そもそもそれが暗示されていたからとして何か問題か?ここが中国ならヤベーけどここ日本やぞ?
これの例え話で「エノラゲイの転生もので主人公の持っている剣が『リトルボーイ』だとしたらどうする?」みたいなこと書いてるのあったんですが、それがアメリカでの発刊物なら別に気付かないからどうでもいいよ。聞いたら作者とその出版社の神経疑うけど、アメリカの出版社だしね。いちいち抗議も上げない。
そんなことに抗議するならアメリカの「原爆投下は戦争を終わらせるための必要悪*3」と言って正当化していることに声上げたほうがいいしね。
アニメ化中止はもう仕方ねえや。流石にこの流れで決行できるようなアニメ会社はないでしょう。というかスポンサーがいないでしょう。無理だ。
この流れ何がマズイかというと
作家の人間性がダメだったら作家の経済活動が止められる可能性が出来た。
ということです。意味分かるか?
まず5年前の発言を持ってきて騒ぎ立てる神経が異常なわけだ。とりあえずこれに対して抗議とかしてる連中は5年前の自分の思想と今の思想が変わらないと言い張れるのか?って話で。5年前にヤベーこと書いてたとしても今ではどうかわかんないしね。
で、中国メディアの情報を持ってきてお墨付き貰ったみたいに「エノラゲイが~」とか騒ぎ立てるのもおかしいわけだ。
そして本来責任を負うはずの出版社が発刊停止にしたのもおかしいわけだ。ここで責任を負うっていうのは発刊停止にすることじゃなくてそのまま発刊し続けること。作者の人間性が問題なら論外なので置いておくとして、表現の問題ならそれを見抜けなかった出版社が悪い。責任を持って発刊し続けるべきで、発刊停止にするならそれなりの代償を背負うべきなんですよ。編集長がやめるとかね。*4
少なくとも出版社は作家よりも遥かに軽い痛みしか追ってないわけですよ。責任の大半というか8割くらいは出版社にありますからね。どう考えても。書いたのは作家でもそれを出版するとなった時点で「広めた責任」は出版社に移るわけですから。だから出版社は作家に大きな権力を持つわけだ。その責任を取れない出版社に権力なんて持たせるべきじゃないですよ。
まあこれを騒ぎ立てた人間はクソだし、それを聞きつけて日本批判したいだけの中国メディアもクソ。それに託けて正義感ぶって意見言ってるやつもクソだし、発刊停止した出版社もクソ。そしてそれらの流れに対してこうやって意見してるやつもボクを含めてクソなわけだ。クソ過ぎないか?
この流れがまた同じように見られないことを願うだけだ。表現規制(自主規制含む)は極力行うべきじゃないのよね。差別用語から二次ポルノのモザイクまで。その表現は作者の意図を伝えるのに必要なアイテムであるから、それを奪うことはすなわち表現の幅を狭めるのよね。
「弟がカタワなんて恥ずかしくていえるか」(少年)
「カタワではない!!」(ブラックジャック)
っていうシーンの「カタワ」が不味かったので「病気」に変更したんですが、マジで意味がわからなくなった。その表現規制は必要か?
多様化社会とか言っておきながら一元化社会に突き進んでますよ。「傷つく人」というマジで存在するかどうかわからない人間を盾に自分の好きなように進めようとする社会が。
こうやってみんな喜んで地獄に突き進むわけです。よく考えたほうがいい。クッソつまらない世界が待ってますよ。