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「DEATH STRANDING」のレビューみたいなやつ

えー、先日「DEATH STRANDING」のストーリーをクリアしました。

レビューを書こうと思ったんですが、その前にこのゲームの購入を迷っているような人がいたらそういう人たち向けにもちょっと書きたくなったので書きます。

1.ゲームについて

2.レビュー

的な感じで書いていくのでネタバレとかが嫌な人は1で読むの辞めといてください。合図は書いておきます。

 

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好きなシーン(PVにもあるやつ)

 

 

 

おススメできないゲーム

恐ろしく不穏なタイトルから始まりますが、個人的な評価としてはこのゲームは「いい作品」として捉えています。少なくともオンラインゲームの新しい可能性を導き出したという点では評価されるべきゲームです。

が、「おススメのゲームは?」と聞かれたときにこのゲームを挙げることは僕には出来ないですし、すぐにこのゲームを挙げている人がいれば正気を疑います。もう少し具体的に言えば人をもの凄く選ぶ作品です。

なのでかなりネガティブなことを延々と書くことになります。が、やはり魅力は十分にあるのでそれを書いてゲームのザックリとした紹介を終わりにします。

 

高すぎるハードル

このゲームを十分に遊ぶには非常に高いハードルが用意されています。別段「PS4Proじゃないとだめ」とかいうことではなく、ゲームそのものが非常に高いハードルを課しています。ムービー、シナリオ、プレイの3つの面でそれぞれハードルがあるのでそれぞれ書いていきます。

 

ムービーが長い

えー、これは他のレビューを見てよく見かけるのですが、「ムービーが長い!」というのがあります。全体的にムービーが散りばめられており、モノによっては20分30分は余裕で持っていくものもあります。

「ゲームをしようと思ったら延々とムービーを見せられた」というレビューが多いですね。確かにそうです。ムービーは非常に多く、「ちょっとプレイしよう」と思ったら1時間くらいを持っていかれたりするのがこのDEATH STRANDINGです。簡単に言えば「気軽に出来ないゲーム」となります。腰を据えてやる時間が確保できない人にはおススメできないです。

一つ書いておくとエンディングに関しては若干の操作も含みますが、エンディングに入ったと思ったらそこから冗談抜きで2時間くらい持っていかれました。無論その間はセーブなしだった(スリープモードには出来ますが)ので万一プレイしてエンディングまで進んだらその覚悟はしてください。

 

シナリオ(用語)を理解するのが非常に面倒くさい

シナリオですが、ゲーム中の用語がかなり多い上に取っ付きにくい内容のものが多く非常に理解をするまでに時間がかかります。

まずゲーム中の時間は現代から半世紀ほど後の世界だと思われます。無論その半世紀ほどの間に様々な出来事が起こっているのですが、我々プレイヤーはそれを理解しないままゲームに放り出される形になります。そして作中の人物はそれらの出来事を基本的に理解している状況なので「なんだかよくわからないままストーリーが進む」という形になります。上述のムービーが長いのはこれに対するフォローでもあるでしょう。ないと流石にキツすぎる。

ネタバレにならない程度(PVレベル)で説明すると

昔に「あの世」と「この世」が繋がったことで「あの世」から死者の魂(BT)が来るようになった。BTは自身が死んだことを理解してないために肉体を求めて「この世」の人間に襲い掛かるが、そのことによって「対消滅」が起こりその一帯がクレーターとして飲み込まれる。

人々はBTを避けるために地下のシェルターに閉じこもるようになってしまい、政府は国家としての体裁を保てなくなり事実上崩壊。

(おそらく)半世紀ほど後、これらの地下のシェルターに閉じこもった人々を繋ぎ直すためにサム(主人公)はアメリカ大陸を横断する

って感じだと思います。

「この世」と「あの世」が繋がったことによって様々な現象が起こるようになったのですが、それも非常に多くややこしい。特に「カイラル」と名前のつく用語が非常に多く「カイラルってなに?」って感じになるのがかなりキツかったです。「この世」と「あの世」が繋がったことで出てきた新しいものくらいに思っといてください。

作中でなんとなく理解していきますが、基本的によくわかってないまま放り出される形になるので結構それがストレスになる人はいると思います。

 

プレイそのものがかなり面倒で長い

このゲームは基本的に上記のシェルターから頼まれた荷物を延々と運び続けることになります。序盤に関しては全て徒歩、しかも地上は既に荒廃…とまでは行かないですが町並みのようなものは殆どなく山、山、川、崖…みたいな自然がほとんどです。無論、そんな道を徒歩で行くのは面倒なのですが、荷物があるために基本的にノシノシとゆっくり歩いていくことになります。画面としては非常に地味極まりないですし、長くて面倒に思う人は本当に面倒に思います。

爽快なアクションがあるわけでもなく、延々と移動するということになります。これが面倒だと思う人は多いと思います。「延々とお使い頼まれてるだけじゃん」と言われればぐうの音も出ないです。序盤に関しては移動面に関するアイテムも梯子とロープのみと選択肢も少ないため、ここで投げる人も多いと思います。これらのアイテムも荷物に含まれ、そこそこ重いため大量には持っていけないということも拍車をかけるでしょう。

更に言えばミュールと呼ばれる山賊もどきが襲ってきたり、上述のBTのいるところを気付かれないように息を潜めて進んだりとストレスも多いです。特にBTに関しては序盤は完全に対抗手段が存在しないためそこそこの道を這うように進まないといけないため非常に厄介。対抗手段が出来ても可能な限り避けたい相手です。

が、これらに関してはおそらくわざとやっていて、ここが面倒じゃないとこのゲームの評価は非常に低いものになっていたと思います。というのはこの後の章で。

 

ストランド・ゲームについて

「なわ」は、「棒」とならんで、もっとも古い人間の「道具」の一つだった。「棒」は、悪い空間を遠ざけるために、「なわ」は、善い空間を引きよせるために、人類が発明した、最初の友達だった。「なわ」と「棒」は、人間のいるところならば、どこにでもいた。

安部公房「なわ」

 からこのゲームが始まります。現在のオンラインゲームは基本的に「相手を倒す=悪い空間を遠ざける」ものが非常に多いです。オンライン対戦などは言うまでもないですし、オンラインでの協力も「ゲーム内の敵を倒す」ことに主眼を置いているでしょう。

現状のオンラインゲームでは「棒」を使うゲームばかりだったのを「なわ」の形でやってみようというのが今作の肝となります。具体的にどういうものか。

上述したように基本的にこのゲームはシェルター間に荷物を届け続けるゲームとなります。しかし山や川など地形による障害が多いです。そのため梯子などを使うのですが、この自分が置いた梯子が世界の誰かにも反映されることになります。それを誰かが使うことでゲームが進めやすくなります。逆に世界の誰かが置いた梯子が自分のマップに反映されて移動が楽になることもあります。自分を助けるために使った道具が世界の誰かを助ける、逆に誰かが自分のために使った道具に助けられるという仕組みになっており、緩やかな協力プレイとなっています。

またその道具を使ったら相手に使ったということがわかるようになっており、SNSなどの「いいね」のように数字として反映されるようになっています。

ここで効いてくるのが上述の「移動の面倒くささ」で移動が面倒だからこそ、「誰かが使った道具」というのが非常にありがたく感じるようになっています。本来なら自分で梯子を持ってきて、それをかけて~と言った手間が省かれて非常にスムーズに進めるようになります。

逆に自分の置いた道具が誰かに使われたら「あ、誰かの役に立ったんだな」と実感することが出来て非常に貢献感を感じることが出来るという寸法です。そうなると自分で道具を設置するときも「いいね」を貰えるようにちょっと考えて置くようになるというのもいいですね。

 

この部分が非常に良くてこのゲームの肝であって、逆に言えば「ストランド・ゲーム」に魅力を感じない人には全く面白くないゲームという評価になってしまうと思います。

 

僕が購入したのはこの「ストランド・ゲーム」を体験するためだったので上述のシナリオやプレイの面倒くささについては全然許容できた…というかプレイの面倒くささに関しては完全に予期していた*1ので「まあね」と流せましたが、やっぱりそうじゃない人はそうじゃないんでしょう。

個人的には期待通りのいい体験をさせてもらいました。この「ストランド・ゲーム」の扱い方(演出)が巧妙だったので期待以上の体験だったと言っていいでしょう。こんな地味な移動だけで面白く感じられることが出来たのは「ストランド・ゲーム」のおかげでしょう。

 

総評

以上のようにこのゲームはムービーはめっちゃあって長いし、シナリオはわかるまで時間がかかるし、プレイそのものも面倒で長くて地味なため「おススメのゲームは?」と聞かれてこのゲームを挙げることは出来ないですし、挙げている人がいれば真面目に正気を疑います。

楽しくプレイするためのハードルが高いゲームです。長いムービーに耐えられる時間の猶予と全く知らない用語を理解していく好奇心、そして地味なプレイでも出来る精神力(というと語弊がある気がしますが)が必要です。

が、おススメはしませんが、「体験して欲しい」と思えるゲームです。この「ストランド・ゲーム」を一度味わってみて欲しい。誰かのおかげで面倒な道のりを楽に進める感謝の気持ちと自分がゲームを進めるために置いた道具で誰かが助かって感謝される肯定感を味わって欲しい。

 

本当に人を選びますがとてもいい作品です。クリアまで40時間を食いますしムービーも大量にありますがそれに見合う体験が出来るゲームだと思います。「ストランド・ゲーム」に興味があるなら買ってやってみて欲しいです。

逆に「ストランド・ゲーム」に興味がない場合は単に苦痛なゲームとしての体験が強いのでおススメできないというかやらない方がいいと思います。そんな感じのゲームです。

シナリオ面に関しては…どうなんでしょう。好きな部分もありますし非常に変わった世界での体験なのでシナリオ面を見込んで購入するのもアリなのかもしれないです。

 

ただ、これは言っておくんですが陳腐な言い回しですがこのゲームは「実際にやらないと楽しめないゲーム」です。まあ全部のゲームがそうだと思うんですがこのゲームは特に。

これは「ストランド・ゲーム」もそうですが、シナリオ面でも「繋がり」が重要なキーワードになっており、それは実際に一人で延々と荷物を運んでアメリカ大陸を繋ぐということを経験しないと感動性は大きく損ないます。「動画だけ見て~」とやるのは本当にダメだと思うので「プレイする」か「プレイしない」かでやって欲しいなと思います。

 

www.youtube.com

最後にTGSでの小島秀夫監督のプレイ動画を置いておきます。25分くらいまで見れば大体「ストランド・ゲーム」がわかるんじゃないかなと思います。

 

以上。

 

 

こっからはネタバレありのレビューになります。

 

総評

長すぎ~~!!めんどくせ~~~!!!BT怖すぎ~~~!!!!!ええからカイラル通信結ばせろや!!!BT怖すぎ~!ミュールがいるかどうかくらい把握しとけや!!BTの座礁地帯も把握しとけや!!!

そしてありがとう、「ストランド・ゲーム」…。

 

ゲーム面

ストランドゲーム

えー、個人的に「ストランド・ゲーム」に期待して購入したのですが、期待通りでした。本当にね、ゲーム中に「誰か」に感謝するっていうのは本当にいい体験で、逆に誰かの役に立ったっていうのも本当にいい体験でした。

中部に着いてなんとなく出来そうだったので国道の建設をしたのですが、そこで「いいね」が万単位で来てとても嬉しかった記憶があります。「あ、みんな通るからか」と。ここで国道建設にハマって近くにいるミュールを襲撃して資材を奪っていくミュールと化したのはいい思い出ですね。

特に良かったのが、最後の西から東に帰っていくところなんですが最初は「うっわ、めんどくせ~!!」って思ったんですよ。声に出したかもしれない。で、西から東に帰るわけなんですが、それまで自分がいかに楽をするために苦労した(道具を置いたり国道を建設したり)かが問われているところが非常に良くて、苦労した分が報われるのもそうですがその分誰かの役に立っているわけで…ね。とても良かったです。

更に言えば最後の東部から帰るときなんかは自分の道具は全部なくて「誰か」の道具を頼らざるを得ない状態で…。そういう演出も非常に心に響きましたね。「誰か」に感謝しながらゲームを進めました。

「棒」と「なわ」

このゲームは基本的に『「棒」ではなく「なわ」』がテーマになっているのが感じ取れる部分が多くて、例えばアサルトライフルを手に入れても死体がネクローシスするからまともに使っちゃいけないように設計されているのがいいなって…。それが序盤のムービーでしっかりと伝えられているのも良かったですね。

あとこれは設計上あえてそうしたのか結果的にそうなったのか、はたまた自分がTPSが苦手だからかわかんないんですがこのゲームって「相手を倒す行為=棒」って全然面白くないんですよ。1対多で隠れながらか1対1にいちいち持ち込んで倒さないといけないのもありますが全然爽快感がない。一番酷かったのはカイラル嵐に巻き込まれてクリフォードのところに行くときなんですがアサルトライフルで相手をぶっ放せるんですよ、でも全然面白くないというかメチャクチャ不利なので寧ろストレスが溜まる。

BTに関しても「敢えて捕まって倒そう」なんて気は起きなくて、真面目に「苦痛」と言っていいものでした。「相手を倒す」という行為が非常に面白くない。これは設計上そうなんですかね。

あと良かったのはビーチ姫(なにがビーチ姫やねん)に2択を迫られて銃を渡されたときですね。迷わずぶっ放しました。が、それは間違いで。「棒」ではなく「なわ」なわけで。銃なんて捨てるのが正道なんですよね。ここは「ハッ!」と「棒」に傾いていたことを自覚させられました。一本道ではあるんですが、テーマ性にあったいい一本道でした。

痒いところにもう少し手が届いておいて欲しい

全然話は変わるんですが、トラックを作ってなかったのでミュールからトラックを奪って進めるプレイを基本的にやってたんですが、「どれくらいまで積めるのか」ということが全然わからなくていちいち荷物を降ろしたりしながら乗車できるか確認していたのが非常に面倒くさかったです。

車の耐久力がどのくらいなのかパッと見てわからなかったり。これは見るところがあるのかもしれないですが左下にバッテリー同様に見られるようにしても良かった。

あと「いいね」ボタンと「叫び声」のボタンが一緒なので誤って叫んだりするのもあまり良くないですね。幸い直接的な被害はなかったですが、あれをBT座礁地帯でやってたらと思うとゾッとします。

まあこんな感じに痒いところに届いてない部分が多いですね。気象情報も見た記憶ないですし。あとTipsに関しては新しい項目にすぐにたどり着けるように多少の工夫は欲しかった。右スティックでページ切り替えできるとか。アップデートとかでやってくれるんですかね?

 

シナリオ面

まず「北米大陸を繋ぎなおす」という大きな目的が存在するのは非常に良かったと思います。結構こういうわかりやすい目標が大きくドカーンとあるのは大切なんですよね。ブレずにゲームが出来るので。

プレイヤーには(おそらく)半世紀ほどの空白がある上にデス・ストランディングによる様々な現象(BTや対消滅など)があって非常に取っ付きにくい内容でしたが「まあそういうもんなんだろう」と流すことが出来ました。最初は全然意味不明というか理解不能でしたが。

また主要人物全員にバックボーンがあってそれぞれ語られていくのもまあ良かったんじゃないですかね。どういう時代なのかがわかっていって。めっちゃ荒廃してましたが。

個人的に大塚芳忠さんの胡散臭い声が好きなのでハートマンが好きでしたね。「いいね」を目の前でしたときはゲラゲラ笑いました。めっちゃ良かったです。

全体的にどうこう評価するとなると非常に難しいです。ゲームとしては「棒」ではなく「なわ」のテーマ性を貫いているのはとてもいいと思うんですがシナリオ単体の評価となると特別残らないかなって感じです。

 

ただエンディングがなっがい!!!!

お前2時間も時間食うのに事前の確認とかちゃんとせえへんのかい!!ビックリしたよ!いや行動する時間はあったけどセーブできなかったし「もう終わるやろ」って思ってたらまだあるし…。なんなんだよ…。流石にここは酷すぎた。普通に映画1本見れますよ。

ビーチ姫(なにがビーチ姫じゃ)の下りは「絶滅」云々がめっちゃどうでもいいというか結構急に(急にとまで言わないかもしれないが)来た形で「はぁ?」ってなりました。もう少しじっくりと伏線を張って欲しかったところがありますがあの辺りが限界なんですかね。

代わりにBBおじさんことクリフォード・アンガーの話が最終的に全て繋がったときは本当に感動して泣いちゃいましたけど。ああいう親子の絆みたいな話に本当に弱くて…。薄々そうなんじゃないかと思ってたんですが最後のカイラル嵐のときの話と繋がってもう…。あそこに関しては本当に良かったです…。

ダイハードマンの下りも良かったですね。こう…恩を返そうとするダイハードマンとクリフを間接的に殺してしまった罪悪感とか諸々。なんかこういうのは好きです。

 

ただエンディングが長すぎる…。というか情報の開示がエンディングに集約されすぎていてもう少しゲーム中に散りばめることが出来なかったのかって感じですね。特に絶滅云々の話。真面目についていけなかったし、それよりもビーチでちょっとずつ赤ドレスおばさんが話していくのを聞くのは真面目に苦痛でした。もう少しあのあたりどうにかならなかったのか…。

 

ホンマにね、ゲームとしては本当に凄い良い体験をさせてもらったけどエンディングに関してはある意味「最悪」でした。ラスボスみたいな顔をしているヒッグスを倒してからが長すぎる。「もう少しやろ」と思いながら3,4時間プレイすることになりました。最後の2時間は半強制みたいなやつだったのでホンマに。

ヒデオコジマにはこういう面をもう少し気をつかって欲しいですね。

 

以上です。

*1:購入を迷っていたが、このプレイの面倒くささが原因